八十の三十  触れるということ

八卦掌や太極拳、形意拳の試合では

お互いの小手を軽く付けたところから

試合開始となります

この小手をクロスさせるということを

交手と言います。

他所ではまた別の呼び方をしているみたいですね。

ところでほとんどの場合 

この交手をするということ、

つまり相手に接触するということの意義が

よくわかってないというか、

研究が出来ていないようです。

というのもこれは八卦掌や太極拳、

形意拳では離れて闘うことのリスクを嫌って

密着した状態での戦闘法を選択した結果なのです。

相手の手や脚が自由に動けるようだと

どこから攻撃が来るかわからず、

想定しない攻撃を受けてしまい易いのです。

ところが密着してしまうと

皮膚感覚で相手の動きが分かり、

相手の動きに素早く対応できます。

ですから相手が動こうとしたら

素早く密着して制圧し 

封じ込めるところから

闘いは始まります。

(突き技や蹴り技はその後になります。)

この交手という技の

(交手というのは形ではなく技なのです)

本質は 相手に密着して制圧し、

封じ込めるというところにあります。

當然 相手はそれを嫌がって逃げます。

こちらもそれに付いて行かなくてはなりません。

それで貼、粘、連、随という、

貼り付いて、粘らせて、連なって、随き従う

という技術が必要となって来る訳です。

ここらの技術は太極拳の推手という対練で養います。

   令和二年八月六日

八十の二十九  中指を使う

按勢の時 

中指に意識を注入して使うと

より強く使えます。

修得方法は動画を見て貰えばわかりますが、

まず単独練習です

肱を直角に曲げ、手首を垂らし、中指を墜とします。

脱力しながらやるのがいいのですが

初めのうちは少し力を入れて

折るようにすると良いでしょう。

次に折った中指に

意念を注入しながら按出します。

中指の先端が相手に触れたら

手の平で押し出します。

中指全体の反撥力を利用するようにして

按出するとうまくいきます。

次は推手のときの利用法です。

單円推手でやります。

相手の按を受けたら、

手首を返し

手首を折りながら下圧します。

この時、中指を降りながら意念を注入しますと

千斤の重さが出て相手は返せません。

以上簡単ですが説明してみました。

            令和二年七月三十一日

八十の二十九   氣の流れを利用する

この動画では扇風機の位置を変えて

氣の流れを変化させ、

それが實際に吾々にどのように影響を

及ぼしているのかを確かめています。

まず西北と東北に扇風機を置いた場合です。

押されると真ん中の人は簡単に動いてます。

次は西南と東南に扇風機を置いて

風を當てて押してみると見ると

しっかりしています。

このことから次のことがわかります。

拳法の武技を修得する場合 

下肢がしっかりしてる方がしっかりした

突きや蹴りになる訳ですから

基礎はしっかりした方がいい訳です。

すると 西南と東南に扇風機を置いた方が

しっかりした突きや蹴りになるはずだ、

というのは容易に想像できるでしょう。

内功を利用して武技を修得しようとするのに、

氣の流れに無頓着というのはいただけません。

もっと積極的に活用しましょう。

ちなみに扇風機のスイッチを切って無風にすると

また身體がぐらついていますから

この場合の風の有効性は明らかです。

         令和二年七月二十四日

八十の二十八  武道で氣をつけること

武道をやってて氣を付けなければいけないのは 

他人の恨みを買わないことです。

武道をやってると強くなるものですから 

つい過信してしまい、その結果奢り昂り、

他人の氣持ちを逆撫でしてしまい、

買わなくてもいい恨みを買ってしまうことが 

ママあります。

實はこれがかなり危険なのです。

思わぬところで逆ねじを食ったりして

仕返しをされることがあります。

弱い人ほど陰湿、卑怯な手段でも平気で使いますから。

私の知ってる事例で

ピストルで撃たれて

命を落とした人があるくらいですから。

常に謙虚に、他人には優しく、いつも明るく、が、

吾が樂鍠關塾のモットーです。

それからもう一つ。敵わないと思ったら逃げろ、です。

實戦では強い相手とは闘わないことです。

逃げ足の速さは生き残るための重要な要素です。

三十六計逃げるに如かず、

というのは立派な戦術です。

     令和二年七月十七日

八十の二十七  洪水による水害

七月四日の大雨で熊本県の人吉、球磨地方に

大規模な水害が発生しました。

私の中学校時代の友人たちも

何名かは被害に合ったようです。

この地方の地理を説明してみます。

球磨盆地は熊本県南部に位置し、

人吉市が球磨地方の中心になります。

日本三大急流の球磨川が

人吉市の中央を貫いて東西に流れてます。

それから球磨川最大の支流、

川辺川が人吉市北方の五箇荘、五木村から相良村をへて

人吉市の東側で球磨川と合流し、

球磨村、八代市を経て八代海、別名不知火海へ流れています。

実は球磨川の氾濫は

この川辺川の治水の失敗と言っても良いくらいなのです。

球磨川には治水用の水量調節ダムとして

人吉市東側から流れてくる球磨川本流の上流、

水上村の市房山の麓に市房ダムがありますが

川辺川には小さな砂防ダムくらいしかありません。

球磨川の水量の四割が川辺川水系からのものです。

過去の氾濫はほとんど川辺川が球磨川と合流した地点の西側、

下流で発生しています。

今度の水害も川辺川ダムができてたら

これほどの被害は発生しなかったのではないか

と悔やまれます。

ただこの川辺川ダム、ダム本体は五木村下流の相良村に造られます。

相良村も1キロメートル位が水没しますが

五木村は中心の頭地地区をはじめその殆どが水没するのです。

それなのにメリットは殆どありません。

人口も当時六千名を数えてたのに今は千名を割ってます。

まさしく村落消滅の事態なのです。

今までにダム関連で

千六百億円もの巨額の税金が投じられました。

それなのにダム建設は中止されました。

村民一人当たりに換算すると

一億六千万円以上を費やしておきながらですよ

これでダム建設やーめた、となってるのですから。 

我が国はいったいどうなってるんだろうと思いますよね。

          令和二年七月九日

八十の二十六  バックスピンの理解

今回はバックスピンの理解を深めるための稽古になります。

特に擺脚、括面脚についての私なりの説明です。

この二つの蹴りは、擺脚は後ろ回し蹴りと、

括面脚は回し蹴りと

混同ないし混用されている場合が多いのですが、

まったく別の蹴りになります。

擺脚、括面脚共に腰は回しません。

それに対し 回し蹴りも、後ろ回し蹴りも

共に腰の回転が重要になります。

ただ擺脚も括面脚もバックスピンを入れないで蹴っても

ほとんど威力が出ません。

その理解を深めるためのレッスンになります。

普通の蹴りや突きは當ると後ろに倒れることが多いのですが、

バックスピンが入っている突きや蹴りは 手前に倒れます。

バックスピンを使った打撃は外見は粘ったような打撃に見えます。

余談ですがこれは相撲でがっぷり四つに組んでる時も使えます。

見た目には引き落としているように見えるのですが、

實際は手前に 押し潰しているのです。

        令和二年七月三日

八十の二十五  八卦掌の稽古

まず八卦掌の特徴である掌の形を覚えます。

竜爪掌といいます。

竜が掌で珠を掴んだような特殊な形をしています。

この形創るのが難しいらしく 皆 苦労してます。

コツは掌だけで、竜爪掌を創るのではなくて 

肩から臂、手首などを使い、

さらに 肩甲骨も動かして 

腕全體を連動させて創ってみて下さい。

次は大事な歩き方です。

八卦掌は円周上を歩きますが これを円歩式と言います。

ただその前にやることがあります。

足の爪先を内側に向けることを扣歩といい、

外側に向けるのを擺歩と言いますが

この扣歩、擺歩の稽古に三角形の一辺を

停歩しながら歩きます

三十秒ほどジッとしてます。

これは八卦掌の站樁になります。

概ね左回りと右回りで十回づつやります。

さらに正方形の一辺を歩きます。

これは停止なしで連続して回ります。

これをやってから、

それから円歩式です。

脚先を突き出すようにして円周上を歩きます。

八卦掌といったら

この円歩式だと言われるくらいですね。

一周八歩くらいから始めます。

腕を振らず、腰を上下させないようにして歩きます。

足裏は地面と平行に上げて平行に下ろします。

これを平起平落と言います。

或いは起平落扣とも言います。

このような歩き方を趟泥歩と言いますが

吾が國武道でいう摺り足です。

ただしこれは實際には摺るというより

地面スレスレを滑空させるように歩くのが良いと思います。

                   令和二年六月二十六日

八十の二十四 站樁のときの馬歩の歩幅  

站樁の時の足の位置で

功を積めるか否かが決まってしまいます。

自分に合った歩幅がわかったら

メモをして控えておいてください。

この馬歩の場合、

足の内側のラインが平行になるようにして立ちます。

一方 空手の騎馬立ちでは足の外側のラインが

平行になるようにして立ちます。

このことをあまり疑問にも思わなかったのですが、

空手の騎馬立ち風に

足の外側を並行にして站樁をやってみたら

これがいいんですね。

という訳で私の所でも 

站樁のときは足の外側のラインを平行にしてやるように

変えます。

この站樁なのですけど 

私が太極拳を始めたての頃、もう半世紀ほど前のことなのですが

こんなハナシを師匠がしてくれました。

「昔ある人が太極拳を習ってたが 

いつまで経っても站樁しか教えてくれなかった。

来る日も来る日も

站樁の細かな修正ばかり。

とうとう嫌になって逃げ出したそうです。

ところが途中で追い剥ぎに出会って

身ぐるみ剥がされそうになったのだそうです。

その時咄嗟に出たのが站樁の抱玉式。

相手は血を吐いて倒れたとか。

その時 なぜ師匠があれほど粘り強く站樁を教えたのか覚ったそうです。

慌てて師匠の元に取って返し、

さらに数年修業を積んで大成したそうです。」

この話を聞いた私はしめしめ、これはいいことを聞いた、

これで強くなれる とばかり修業したのですが 

なぜか強くなれませんでした。

何故なのかは

長いことわかりませんでした。

それがやっとこの間 これなら間違いないと解ったのが

歩幅と重心の位置関係なのです。

站樁の時 歩幅と重心の位置さえ正確なら

確かに両手を突き出すだけで相手を突き跳ばせます。

よろしく修業に励んでください。

     令和二年六月二十日

八十の二十三    歩幅

土台のことです。

通常 正拳や手刀、猿臂など上体のことには

興味を持つのですが、

それを支える下半身の事については 

殆ど関心がないように見受けられます。

まあよく解らないというのもあるかもしれませんけど。

せいぜいしっかりしてたら良い、という

くらいのものです。

余談ですが野球などのプロスポーツ界や

相撲、柔道などの格闘技界ですらも

下半身を徹底的に鍛え上げてる人は

ほんの一握りのようです。

話を戻します。

一応 私のところでは 肩幅を基準としてます。

太極拳の馬歩は  肩幅の〇・九倍

弓歩では     肩幅の一・四倍

形意拳の三体式では肩幅の一・一倍 とします。

なお體格により多少変動します。

では次に重心の位置です。

馬歩の場合  カカトの前、土踏まずの後ろ半分に

重心を墜とします。

弓歩の場合  前脚に八割、後脚に二割 體重をかけます。

三体式の場合 前脚に三割、後脚に七割 體重を掛けます。

歩幅と重心の位置を正確に取れば

技の効き目が格段に良くなるはずです。

  令和二年六月十三日 

八十の二十二  素振り

この動画は遊び稽古の一つとして楽しんでください。

これはちょっと場違いみたいに思われるかもしれませんが 

實際に振ってみると 中々思う様には振れないものです。

動画のように 軽く力を入れずに振っても

早く振れるのはなぜかと言いますと

手首の振りを極力しない、

所謂 スナップを使わないようにしてるからなのです。

なぜスナップを使うのがまずいのかというと 

スナップを使うと 

動きが二段階の動きになり遅くなるのです。

一方、スナップを使わない振りでは 

一調子ですから二調子の動きより一つ少なくてすみますから

その分早くなるという訳です。

この稽古の意味は動きの質を高めるためのものということです。

正拳突きの場合でも、

強く突こうとして體幹を前に押し出して 

その為に突きが遅くなっているのを勘違いして

腕力を鍛える筋トレをしているのを見受けます。

努力の方向が間違っているのではないのか、

と思いますね。

寸勁もこのような動きの質を高めることで 

容易に身につけられます。

筋力ではなくて意念で拳を突き出します。

この時 意念を一旦、下腹部の丹田に墜として

圧縮してその反発力を利用すると良いと思います。

         令和二年六月四日